バーティカルランニングの名称
バーティカルランニングとは、“Vertical=垂直”と“Running=走る”を掛け合わせたもの。
しかしそのルーツは走ることとは別にある。
2月コラムで記したバーティカルランニングの歴史には、「あの建物の頂上まで何分で登れるか」が
競技の始まりとしていたが、“垂直方向へ駆け登る”という意味では更に過去へと遡ることになる。
それは登山である。
▌SKYRUNNING
街や村から山頂へ、谷や海から山頂へ。これがSKYRUNNINGにおけるテーマだ。
SKYRUNNINGは、空へ向かって駆け登る山岳競技。
ルーツは登山であり、「あの山までどれだけ速く登れるか」が競技の始まりである。
従来の登山装備より軽くし、歩きや走り、ときにはよじ登るなど、
手を使いながら速く登る、いわゆる“快足登山”だ。
その多くはヨーロッパで行われ、瞬く間に世界へと拡がった。日本に到来したのは1990年代後半。
戦前より御殿場市で開催されている富士登山競走もSKYRUNNINGと呼ぶに相応しい競技だが、
そもそもSKYRUNNINGという言葉自体が浸透していなかった。
▌都市型への発展
世界的な団体ISF(国際スカイランニング連盟)が1995年に設立。
2003年スカイランナー・ワールドシリーズが開始。
2016年にはUIAA(国際山岳連盟)とパートナーシップを結んだことで、
国際的なスポーツとしてより強力に普及するための環境が整いつつある。
発足当初からオリンピックへ視野を向けていたこともあり、世界各国で競技が出来る環境作りを展開してきた。
しかしそれには限界がある。山が無い国はどうするのか。
事実、日本には2000~3000mクラスの山岳地域は存在するのだが、
街からのアクセスや急峻度を考えるとヨーロッパには劣る。
ましてや中東などの地域は2000mすら届かない国もあるため、全ての国で山岳競技を行うことは不可能。
そこで、超高層ビルやタワーで行うのはどうかという案が出た。
既に競技として開催されており、人工的に建設が可能なものであるため、
オリンピック種目採用の可能性が十分に考えられた。
いまではSKYRUNNINGの“都市型種目”として、ひとつのカテゴリーに組み込まれている。
▌オリンピック種目採用までの課題 ※個人的な考え
・主要国での競技普及(ヨーロッパ諸国、アメリカ、中国、オーストラリア、南米、日本、石油原産国)
・競技人口300万人
・競技時の撮影方法の工夫
・競技のビジネス化
以上を挙げる。日本における課題に関して、次回コラムで詳細に記す。