タイ・プーケット
ウインドサーファー尾川潤の第10回目のコラム
『タイ・プーケット』
海外遠征コラム第5弾は、2014年にタイのプーケット島で行われたアジアビーチゲームズにウィンドサーフィン日本代表として出場したときのお話です。
この大会は、アジアオリンピック評議会が主催するアジア地区限定のビーチスポーツの総合競技大会で、2年に1度開催されています。
前回のタイ遠征から3年ぶりの海外遠征となりました。こちらも同じタイのリゾート地ということで前回の反省を踏まえて、怪我対策に消毒液など、暑さ対策に粉ドリンクやエナジードリンクなどをしっかり準備していきました。海外遠征も何度も繰り返すとさすがの僕でも色々勉強になってきます。レースに出場するために体の準備は万端にできるようになってきました。
そんなこの旅でも、とても不便に感じたことがあります。それは、スマホの通信環境です。これまでの遠征でもホテルには無料wi-fiの設備があったので、あまり不自由を感じたことがありませんでした。今回、何が一番困ったかというと、一言で「迷子」です。ホテルに着いた初日にビーチまで車で送ってもらって練習の準備をしていたのですが、ホテルに忘れ物をしたことに気づき、1人で歩いて取りに帰ろうと思ったのです。もちろんホテルでビーチまでの道のりの地図をスクリーンショットして保存していたのですが、それはただの写真でしかありません。一歩外に出てしまえば通信環境もなく、現在地は動いてくれません。本来なら歩いても10〜15分で行けるはずの道のりを1時間以上歩いてもなかなかたどり着きません。自分がいったいどこにいるのかもわかりません。通信できないスマホはただのおもちゃです。気温30度超えの炎天下の中歩き回ったため喉はカラカラ。辛うじて持っていたコインを手に、水分を購入するために立ち寄ったセブンイレブン。店員にホテルの名前を聞けども、答えはアイドンノー。わからないぐらい遠くに来てしまったのでしょうか。
もう来た道を戻るしかありませんでした。けれど、方向音痴な僕は、来た道すら覚えていないんです。泣きたくて仕方ありませんでした。汗なのか涙なのか。
そうこう歩いているうちに、見たことのある景色が現れました。何時間経ったでしょうか。やっとホテルに帰ってこれました。
このとき、次の海外遠征からは必ずレンタルwi-fiを借りて遠征へ持って行こうと決意したのでした。スマホがなくてはならない存在であるように、僕の体にはwi-fiという生命維持装置が必要不可欠だと確信しました。