指導の一環で骨をおる
2020年10月、柔道部員の中学1年の男子生徒2人に技をかけ、背骨を折るなどのけがをさせたとして、兵庫県警・宝塚署は13日までに、傷害容疑で宝塚市立中学校の柔道部顧問の男性教諭(50)が逮捕されました。「指導しようと思ったが感情的になってしまった。厳しい指導をした」 と謝罪、容疑を認めている。とあります。理由としては、「当時柔道部では保管していたアイスクリームがなくなったと問題になっていた。部員への聞き取りを行った際に男子生徒2人が勝手に食べたことを申告したため、男性教諭が暴行を加えたという。」だそうです。
まず頭に浮かんだのは意味がわからない・なんでだろう・そこまでするのか、ということです。同じ武道を教える身の立場として様々な感情が湧き出ますし、いろんな思いがあります。もちろん「よくないこと」、これは誰もが感じているのではないでしょうか。しかしそれだけで済ましてはいけない問題だと私は考えております。その背景や、再犯防止の対策を練らないと意味がありません。被害者は背骨を骨折されています、これが脊髄・頸椎に関係するものなら彼等には一生切り離せない麻痺などの障害が残ることになります。そのため再犯防止策を考える必要があるというのが私の考えです。
さて武道における指導ですが、いや武道だけではないのかもしれません。未だに日本のスポーツ・競技・習い事には体罰という悪しき風習が残っています。アマチュアではなく、プロ野球の世界にでも罰走が残っているそうです。試合に負けたから、ゲームに負けたから罰として何かをさせる。これは指導・教育ではありません。指導者のただの怠慢です。むしろ指導者に罰走していただきたいぐらいです。指導とは文字通り、「導く」ことだと私は考えております。このような体罰などは指導者の苛立ち・感情をぶつけているだけに他なりません。全くもって導けていないと感じます。
もちろん、その背景にはさまざまな理由があるのでしょう。教師という重労働からくるストレス、不透明な教育方法、学んでいないコーチング論など。しかしながら指導する立場である限りは最低限の指導方法を知識として持っていて欲しい物です。例えばですが教師免許を取得する際には、クラブ顧問になることも想定しスポーツの教育方法の授業もカリキュラムに入れてみるなどもいいのではないでしょうか。
我々空手界などは、残念ながら体罰のオンパレードでしょう。わけのわからない「押忍」の一言で全てが通ってしまいます。この体罰問題はけして他人事にして考えてはいけない問題です。空手界はもちろん、武道・スポーツ界で明確なルールを設け国として考えていく必要があるでしょう。
最後になりましたが、被害者の生徒にはやるせない気持ちでいっぱいです。加害者の方には一から仕事としての教育を学び直していただきたい。さらにはこれを機会に日本の教育がより良いものに改善されることを祈っております。